日韓の断層【☆☆】
日経の元ソウル支局長が語る日韓関係
今の韓国を理解する上で ポイントとなる点を整理している
嫌韓とはならない冷静な目で今の韓国と日本の関係を見つめている
なぜここまで日韓問題は拗れるのか、その辺りを日韓の社会性の違い、または韓国の特殊性について論じた本。
韓国の特殊性として、「情」の存在を挙げている。
それは、、、
目にみえない「情」がときに法律や条約をも超越する。
ということで、実際に文在寅大統領も従軍慰安婦問題を巡る日韓合意で、「情緒的に受け入れられない」との発言をしている。
また、そもそも韓国は戦後の枠組み作りに加わることができておらず、その時の「不平等条約」を改正したいとの意識があるのではないかとの話も紹介している。
日本人は、ちゃぶ台返しのように見えて不信感を持つのだが、韓国人にとっては前の政権が誤って決めたことを正しく直すのは正当化されると考えている。
大事なのは、継続性ではなく正しさだからだ。
加えて、韓国政治の特殊性にも触れている。
韓国の大統領制は、「帝王的」とのことで、大統領が変わると、
社会全体がオセロのようにひっくり返される
しかし、そんな絶大な権限を持つ大統領でも、
一挙手一投足に目配りし、心を砕いているのが世論だ。
とのこと。
韓国は、労組が強いことで知られており、そもそも社会運動が根強い。
そこに「市民団体」や「被害者」「北朝鮮系団体」も加わり、世論を形成していることが過激な行動に繋がりやすいのではないかとしている。
最初に示した「情」と「正当化」に、「強い大統領の首根っこを抑える市民団体」とくれば、過激にならざる負えない。
まして、過去にシコリがある日本に対してはなおさらなのだろう。
なかなか解決策が見出しにくく見えるが、本の後半では、複眼的な思考を持つことでともに関係を再構築できるのではないかと議論を展開。
特に若者に期待しているようだ。
【まとめ】
人に最も腹をたてるときは、その人の行動が理解できないときだと思う。
そういう意味では、日韓は相手の行動が理解できず、それが先鋭化に繋がっている。
まず大事なのは、相手がどのような考えでいるのかをしっかりと認識することだろう。
そういう意味では、韓国と日本の差異を考える上で、本書は役に立つと思う。