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ビジネス書・相場関係書に関するファンドマネージャーの備忘的メモ

外資系コンサルの知的生産術 山口 周【☆☆】

『思考の技術』を教える巷の本では知的生産性は高まらない

「情報をどう集めるか」など『行動の技術』を習得することが重要でそれをまとめた本

さすがコンサル、象徴的事例が豊富で読みやすい、小ネタ集めができる​ 

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外資系コンサル」と銘打つだけあって、引用の使い方がうまい。

文章の構成自体が一番参考になったかも。

異なる見解がぶつかり合うことで初めて知性は進化する、と説いたのは十九世紀ドイツの哲学者ヘーゲルでした。

たとえ情報が不足しているように感じられたとしても、現時点でのベストエフォートとして明確なポジションを取ってほしい

常にポジションをとることを述べた部分から引用。

評論家的な姿勢では、自分を高めることは難しい。

情報が不足している時にもポジションをとるべきというのは、本当にその通りだと思う

基本、全てがわかることはないし、その時点でポジションを取ってもすでに価値はない

 

次に「考えると悩むを混同しない」の章から

「手が動いていない」というのは、考えているのではなく「悩んでいる」可能性が高い

思考の総量は「考える時間」の量よりも「考える回数」の量によって決まる

特に、考える時間よりも考える回数が重要と言うのは新鮮。

考え方がコンサルっぽい。

まずは手を動かせ、情報を集めろ。

そうすれば、自ずと結論が見えてくる。

 

ソマティック・マーカー仮説によれば、情報に接触することで呼び起こされる感情や身体的反応(汗が出る、心臓がドキドキする、口が渇く等)が、前頭葉の腹内側部に影響を与えることで、目の前の情報についての「よい」あるいは「悪い」の判断を助け、意思決定の効率を高めます

感情により判断が促されると言うことだろうか。

この部分は、なんとなくわかるんだけど、感情は判断を鈍らせることもあるような
「感情」と言うよりは、その場の「感覚」を研ぎ澄ませと言うことかな。

 

【まとめ】
箇条書きでまとめると、よくある自己啓発本になってしまう

この本の良いところは、引用文が豊富で「なるほど」と思わせる部分

例えば・・・

  • チェスの名人とアマチュアの読んでいる手数に違いはない
  • ボルネオでマラリアを撲滅したらペストが流行った
  • チューブ型ケチャップに押されたビン型ハインツが取った行動 など

引用文だけまとめて、今後の引き出しとしてしまっておくのが良いかも

そのような価値がある本だと思いました

 

それにしても…
「常にポジションを取れ」「手を動かせ」「感覚を研ぎ澄ませ」とはいい言葉。

「知的生産物」も「運用」も、いや世の中全てのことが同じことなのかな。