Price is what you pay. Value is what you get.

ビジネス書・相場関係書に関するファンドマネージャーの備忘的メモ

賢明なる投資家【☆☆】

言わずと知れた、ウォーレン・バフェットも勧めるバリュー投資の古典的名著。

巻末にあるバフォット自筆の文章を読むだけでも価値がある。

 

f:id:ryoryo10:20190616221200j:plain

 

 最初に本書のスタンスについて

本書が多くのぺージを割いて取り上げるのは、金融市場の歴史的――時には数十年前までさかのぼる――パターンである。証券投資を賢明に行うには、多種多様な債券や株式がさまざまな状況下で実際にどういう動きを示したかについて、あらかじめ適切な知識を得ておく必要があるからだ

とにかく、本内では過去の個別銘柄の動きをこれでもかと説明している。

考え方を示した上で、その具体的な事例を説明するというパターン。

ただ、今の日本人にとってはあまりにも昔なのでなかなか実感が湧きにくい。

この辺りがこの本を少し難解にしているんだろうとは思う。

本当ならば、その時の時代背景やら実際の株価のチャートを眺めながら考えていくととても参考になるんだろう。

 

次に投資と投機の違いについて

投資とは、詳細な分析に基づいたものであり、元本の安全性を守りつつ、かつ適正な収益を得るような行動を指す。そしてこの条件を満たさない売買を、投機的行動であるという。

投機家の最大の関心事は、株価の変動を予測してそれによって利益を得ることであり、投資家の最大の関心は、適切な証券を適切な価格で取得して保有することにある。 

基本的に投資を行うことを推奨している。

 

さらに投資については、「防衛的投資家」と「積極的投資家」に分けて説明。

基本は、防衛的投資家の行動

防衛的投資家のために三つの役立つ「おまけ」を付け加えよう。第一に、普通株ポートフォリオを構築する代わりに、定評のある投資ファンドを買うこと。または、さまざまな信託会社や銀行が運用する「信託ファンド」や「合同運用ファンド」を利用すること。第二に、もし資金が豊富ならば定評のある投資顧問会社のサービスを利用するということ。これでプロの手を借りて、基準のラインに沿った投資計画を実行することができる。最後に「ドルコスト平均法」を利用すること。

本の全体で行っていることだが、基本は分散投資

分散とは、銘柄の分散と共に株と債券の投資の分散も推奨している。

つまり、投資対象の分散、銘柄の分散、期間の分散、といったところだろうか。

それを活用する意味でファンドの利用を謳っている。

 

さらに「積極的投資家」の投資行動としては以下のように説く。

①相場が下がっているときに買い、逆に上昇しているときに売る。②よく吟味した「成長株」を買う。③さまざまなタイプの割安株を買う。④「特別な状況」下の株式を買う。

ただし、成長株については、相当注意して買う必要があると説明している。

理由は「相応に高い」「企業判断を誤る場合がある」ため。

また、割安株については、大企業の方が良いとのこと。

理由は、「豊富な資本と頭脳がある」こと、「市場が注目している」こと、から。

この辺りは、確かにそうだと思うし、バフェットも実行しているように思う。

なお、「特別な状況」というのは、例えば法的手続きに入っている株式のこと。

これはさすがに個人じゃ選別できないんじゃないかな。

 

その上で、さらにこの本の核心の部分へ

一般の投資家が株価動向を予測して儲けることは不可能であると、われわれは確信している。

何故ならば、、、

非常にさまざまなパターンの相場サイクルが繰り返され、安く買って高く売るという望ましい売買プ口セスが複雑化し、時にはその適用が不可能な局面もあったということである。

 よって、、、

われわれが勧める投資方針は、株の価値を判断基準に据え、株価水準に応じて本人の意思でポートフォリオの株式と債券の比率を変える心づもりをしておくことである。 

そして個別銘柄を選ぶときは割安になっている銘柄を保有すべき

何故ならば、、、

大きな安全域が存在すれば、将来的な収益が過去のそれを大きく下回ることはないと考える根拠となり、投資家は業績の変動から自らが十分に守られていると考えることができるのである。

つまり、自分の能力を過信するなと

ある程度割安な銘柄を選別することはできるが、

  • どこまで割安になるかはわからない
  • いつ割安が解消されるかもわからない
  • 価格変動を当てるなどもってのほか

 

となる

よって、割安な銘柄を分散で保有して、あとは価格が落ちてもジッと我慢して保有し続けること。

そもそも、売買のタイミングを計るなどできないのだから。

本書の後半では、具体的に割安な銘柄の探し方が掲載されているので、そこは実際に読んでいただければわかる。

ただ、今も通じるのかと問われるとよくわからない。

 

【まとめ】

難解な本です。

最初一読したときは、1割程度しかわかっていないのではないかと感じました。

その後、ブログに書くために再読&整理をしたのですが、それでも5割弱の理解度ではないかと思います。

この本を完全に理解するためには、上でも書いた通り、本に記載ある銘柄の動きを実際に確認をしていく必要がありそうです。

1年ぐらいかけて、みんなで輪読しながら読み込むとよろしいかと。

 最後に、この本で書いてある最も需要なメッセージは、最後にバフェットが書いてある通り。

時価に対して大きな安全域を有した価値ある銘柄を探す」

ということに尽きるのでしょう。

それは、簡単なことではなく、それなりの覚悟で投資を勉強した上で、相場に対峙していく必要があるということになるのだと思います。