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ビジネス書・相場関係書に関するファンドマネージャーの備忘的メモ

ブレグジット・パラドクス【☆☆】

 日本のEU研究の第一人者である庄司先生によるブレグジット

足元までのブレグジットの動向について説明し、論点を説明している

複雑化するブレグジットについて、頭を整理する上で役立つ本

 

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 ブレグジットについて、ハードからソフトな離脱について、以下のようなパターンに分けして説明している。

また、単一パスポートの話、北アイルランドの問題、それに伴うバックストップの話も絡めて話を進めている

 

で、本の内容を踏まえてさらに足元までの話については、以下、記者クラブでの筆者の講義がユーチューブにてアップされているのでご紹介。

www.youtube.com

 

長い映像ですが、最初から最後まで勉強になる内容です。

飛ばしてみる場合は、45分あたりから今後の考えられるシナリオの話があります。

結局、現在の議会閉会を考えると、④の合意なき離脱で解散総選挙になるということでしょう。

www.bbc.com

 

では、合意なき離脱となった場合、どうなるのか。

その辺りについては、38分頃から話があります。

管理された(?)合意なき離脱を行うということですが、いずれにせよ経済には大きな影響を与えるんだろうということです。

 

なお、北アイルランド問題については、暫定措置により北アイルランド国境での税関検査・チェックは導入されないとのことです。

WTOルールには反するみたいですが、短期的措置としてはできる。

あれだけ騒いだ北アイルランド問題は、結局政治的な駆け引きだけだったということでしょうか・・・

 

あと、48分頃から始まる欧州の専制化の話も面白いです。 

 現在、第三の民主化の波の揺り戻しの期間に入っているとの話です。

特に第三の波の特徴は、独裁化による専制化ではなく、時間をかけて次第に民主主義を形骸化させるというもの。

それは、選挙で勝利した上で、民主的な制度を廃止しないままにそれを形骸化させるというもの。

実際に、欧州議会や各国政府内の選挙で勝利したポピュリスト政党が法の支配を無力化するだろうとのことでした。

 

【まとめ】

本の話から逸れてしまいましたが、ブレグジットの話はわかりにくい問題ですよね。

しかも、相場にどの程度影響を与えるかもよくわからなくなっています。

そのような中で、EUの専門家として問題を整理し、しかも足元まで追って説明しており、とても勉強になりました。

紹介したユーチューブだけだと少し知識が上滑りになってしまうため、本も読むことをお薦めします。