Learn Better【☆☆】
効率的に学ぶためにはどうすれば良いか
でも、学びは決して楽ではない
それには努力が必要だ
小学生時代に学習困難と診断された著者が効率的な学習についてまとめた本。
そもそも学習とは、
整理されたわかりやすい体系の大切な部分を理解すること
としている。
つまり、単純な知識習得とは違う。
知識は今の世の中、ネットでいくらでも拾える。
つまり、
(データの)中身そのものは、かつてほど重要ではなくなった。ほとんどの人にとって、今大事なのはデータそのものではなく、そのデータを使っていかに思考の質を上げられるかだ。もっと厳密に言うなら、新しいスキルをいかに効果的に習得するか。複雑な問題をどうすればもっとよく理解できるか。記憶の保存場所として、自分の頭とコンピュータをどう使い分ければよいのか。
以前ご紹介した、「知ってるつもり」にもつながる話。
そこで、学習を効率的に行うためとして、以下6つのステップを軸に話が進んでいく。
- 価値を見いだす
- 目標を設定する
- 能力を伸ばす
- 発展させる
- 関係づける
- 再考する
うーん、これだけ記載してもほとんど伝わらない…
話の中で印象に残ったのは、短期記憶と長期記憶の話。
学習が進むと、意味というシステムに接続できる情報が増えていく。知識が他の知識と交わって溶け込んでいく。スキルが他の知識を支え、やがて、長期記憶に助けられて、私たちは習熟していく。
つまり、知識は
長期間使われるうちに無意識化する
そして、
無意識化のプロセスのおかげで『思考に使うスペース』が空くので、短期記憶を容量オーバーさせずに新しい学びを受け入れることができる
さらに学習について、以下のようにも言っている。
身もふたもない言い方をすれば、努力せずにできる学習などというものはない。スキルを伸ばすためには、大変な思いをし、気を張りつめ、多少なりとも自分を追い込むこともある
専門分野を身につけるには反復が必要だということだ。
なんと!努力が必要なのだ!!
いわゆる、巷のハウツー本とは違うことがわかる。
ただ、これまでの単純な学習法ではダメだ。
苦しい学習をいかに科学的に捉えて効率的に行うかに焦点を絞っている。
例えば、
「いちばん良くないのは同じ練習を複数回、連続して行うことです。これは絶対に避けなければなりません」。…「長時間の練習はかまいませんが、繰り返しはいけません」
とのこと。
【まとめ】
一般的なハウツー本とは違います。
いかに情報と付き合っていくか、その中でいかに自分を高めていくかを考える本です。
読んでいくうちに、結局、学習という意味ではスポーツもその一種だということがよくわかります。
(本書の中でも、筆者がバスケを習う話がありますが、とても興味深い話でした)
短期記憶と長期記憶の話、そして最後に紹介した長期間の練習はOKだけど同じ練習の連続はダメだという話はまさにその事例。
スポーツを極めた人にその後他の道を極めた人がいることも、わかる気がしました。
翻って相場の話で言えば、長期記憶を「感性」や「大局観」と読んでいるのかも。
習得するには努力がいるものの、効率的な習得方法はありそうです。