投資で一番大切な20の教え【☆☆☆】
言わずと知れたバリュー投資の名著。
バフェットが株主総会で配布したとの伝説まである。
株の投資家はとりあえず読んでおかなければいけないのでしょう。
まずは二次的思考の考え方から。
「これは良い企業だから、株を買おう」というのが一次的思考。一方、「これは良い企業だ。ただ、周りは偉大な企業と見ているが、実際にはそうではない。この株は過大評価されていて割高だから売ろう」というのが二次的思考である。
これはバリュー投資に限らず投資全般に(投機も?)重要な話。
要は、市場コンセンサスがどこにあり、それとのギャップに賭けろということだろう。
往往にして、自分の考えに固執して、気がついたらコンセンサスと一緒だったというのはよくある話。
次に市場の効率性について
アクティブ投資家なので、もちろん市場は非効率な部分があるとの立ち位置
効率的市場の信奉者である金融論の教授が、教え子と一緒に散歩している。「あそこに落ちているのは10ドル札では?」という学生に、教授が答える。「いや、そんなわけはない。もし10ドル札なら、誰かが拾ってしまっているはずだ」教授が立ち去った後に、学生は10ドル札を拾い上げ、一杯のビールにありついた。
拾ったお金をそのまま使ってしまうという道徳論は置いといて、、、
相応に市場は効率的であることは認識しつつも、その限界についても指摘している。
「事実儲かってるでしょ。」と言うことなのだろう。
グロース投資とバリュー投資について
どちらのアプローチを採用するかは、割安感と成長性のどちらかではなく、今日の本質的価値と明日の本質的価値のどちらかを重視することではないかと私は考える。
我々はグロースとバリューは違うものとの考えが多いが、筆者は違う。
グロースとは、将来のバリューを現在に引き直したものとの考え。
そしてリスクの話。
個人的にはこの話が最もためになった。
投資家はボラティリティよりも、資金を失ったり、リターンが許容できないほど低くなったりすることを懸念して、投資を差し控えるのだと思う。私から見ると「価格が乱高下するのが怖いから、もっと値上がり余地があるほうがよい」と言うよりも、「損したくないから、もっと値上がり余地があるほうがよい」と言うほうが、はるかに説得力がある。
リスクはボラティリティーでは測れない。
結局どれだけ損をするかで決まる。
だからこそ、バリューを計算して下方硬直性を大事にする。
そして、どんなに良質な資産だとしても、割高ならばリスクは高い。
「手を出すには危険すぎる」と言うコンセンサスが幅広く形成されている時、そのほとんどは間違いである。大抵の場合、真実は全く逆なのだ。
ほとんどの投資家が価格ではなく資産の質を、リスクの大きさを判断する材料としているからだ。だが、質の高い資産が高リスクに、そして質の低い資産が安全になることはありうるのだ。
このような考え方で筆者はハイイールドで大儲けしている。
あと、面白かったのは、「猫と木とアメとムチ」の話。
アメは、ごちそう(目標リターン)にありつけるよう、猫をより高い枝(より高リスクの戦略)へとおびき寄せ、ムチは、猫を木の高いところへと追い立てる。地面に近い方にとどまっていては、ご馳走にありつくことはできないのだ。アメとムチの両方を合わせて使えば、最終的に猫を足場の不安定な木のてっぺんまで登らせることができる。
すみません。よく木のてっぺんに登った猫になってます・・・
加えてサイクルについて
この先どうなるかは知る由もないかもしれないが、今どこにいるかについては、よく知っておくべきだ。つまり、サイクルが変動するタイミングや振れ幅は予測できなくても、我々が今サイクルのどの位置に立っているのかを解明し、その結論に従って行動するよう努めることが不可欠なのだ。
サイクルの話は、また別の本「市場サイクルを極める」で詳しく説明してます。
要は、サイクルを当てることは難しいが、ざっくりどの辺りにいるかは考えながら投資をした方が良いと言う話。
最後に
資金調達が容易すぎると、カネは間違ったところへと流入する
はい、まさに今がそうですね。
【まとめ】
多くの人が進めるだけあって、とても良い本です。
株を長期投資する人にとってバイブル的な本になると思います。
一方、株でも投機的に売買している人、為替をやってる人にはピンとこないところが多いかも。
リスクの話はとても面白かったです。
一方、サイクルの話はどうもピンとこず。
どうやら、自分は投機的体質のようです。